ALSの進行抑制を目指すTreg療法
制御性T細胞を用いた免疫再生医療の詳細解説
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態解明は近年飛躍的に進み、神経のまわりで持続する炎症をいかに抑えるかという点が進行抑制の鍵であることが分かってきました。
当院では、過剰な免疫反応のブレーキ役となる細胞を補充・再構築することで、病態の安定化を目指しています。
About Treg Therapy
Treg療法について
持続的な神経炎症と免疫の不均衡
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、遺伝的要因、環境要因、加齢などを契機として、神経および免疫の恒常性が破綻し、持続する神経炎症の中で運動ニューロンが変性・脱落していく進行性の疾患です。本来、人体を保護すべき免疫システムが自らの運動ニューロンを攻撃してしまう現象(神経炎症)をいかに制御するかという点が、治療における重要な課題となります。
患者様の体内では、脳内のミクログリアが過度に活性化したり、末梢血液中の免疫応答に乱れが生じたりしていることが確認されています。特に、炎症を沈静化させる役割を担う制御性T細胞(Treg)の機能低下が、病気の進行速度と密接に相関していることが報告されています。
免疫のバランスを立て直す仕組み
制御性T細胞(Treg)は、リンパ球の一種であり、体内で免疫反応が暴走しないよう調整する「免疫のブレーキ役」としての機能を担っています。ALS患者様の体内では、このブレーキ役としての機能が落ちていることが多いため、これを外部から補完し、免疫の恒常性を再構築することが治療の主眼となります。
本治療では、患者様ご自身の血液からこの細胞を採取し、2カ月をかけ、分離および培養を行います。機能が落ちていたTreg細胞を回復させ、増幅させたうえで再び体内に戻すことで、弱まったブレーキ機能を補強し、症状の緩和および疾患進行の遅延を狙います。ご自身の細胞を用いる自家細胞治療であるため、拒絶反応や未知の感染症のリスクが低いことが大きな利点です。
Uniqueness
治療の特徴と独自性
世界初となる3剤併用での治療提供
本治療の最大の特徴は、Treg細胞の補充に加えて、低用量IL-2およびCTLA4-Igという2つの薬剤を組み合わせた3剤併用療法である点です。これまでの一般的な免疫抑制剤が免疫系全体を非特異的に抑制していたのに対し、本療法は過剰な免疫反応のみを標的とするため、身体本来の機能を守りつつ安全に根本的な改善を狙うことが期待されています。
制御性T細胞(Treg)
患者様ご自身から採取し、無菌環境にて機能を維持したまま増幅させた細胞です 。低下した免疫のブレーキ機能を補完します。
低用量IL-2(インターロイキン-2)
体内に戻したTregを選択的に増殖させ、その機能をさらに強化する役割を担います。臨床試験においても安全性とバイオマーカーの抑制が示されています。
CTLA4-Ig
細胞が過剰に活性化しすぎてバランスを崩すことを防ぐために併用します。IL-2と同様、ALSに関わる病態指標を抑制することが期待されています。
Treatment Flow & Schedule
治療の流れとスケジュール
事前検査から予後診察までの流れ
01適応の判断
血液検査や診察を通じて、アレルギーの有無や持病の状況などを医師が確認し、治療の適応を総合的に判断します。
※病状によっては治療が行えない可能性もあることをご了承ください。
02細胞の採取
点滴を開始する日の3カ月以上前に、腕の静脈から末梢血を採血します。これが、患者様ご自身の治療薬となる細胞の原料となります。
03分離および培養
専用施設にて約2カ月かけて細胞を増幅させ、厳格な品質管理基準を通過したもののみを投与に用います。
04点滴による投与
全8回の投与を、「初期」と「継続」の2つのフェーズに分けて実施いたします。
05 定期的な経過観察
本治療の安全性および有効性確保のため、投与終了から1カ月、3カ月、6カ月後に来院いただき、医師が経過を詳細に見守ります。
※病状により来院が難しい場合はオンライン診療にて代替させていただく場合があります。
各回5日間連続の投与について
スケジュールに関する重要なお願い
本治療で使用する薬剤の効果を安定させるために、各回の投与開始日から5日間連続での通院・投与(Day 1~Day 5)が必要となります。
毎日ご来院いただくことになりますので、あらかじめご予定の調整をお願いいたします。
- 初期投与期間
(第1週~第7週) - 病態の安定化を図るため、2週間の間隔をあけながら計4回の治療(各5日間連続)を行います。
- 継続投与期間
(第9週~第21週) - 良好な状態を維持・定着させるため、4週間の間隔をあけながら計4回の治療(各5日間連続)を行います。
※安全性による中断・再開規定
ALSの重症度分類(AEスケール)においてAE3以上の状態にある場合、医師の判断により日程を延期または中止することがあります。AE2以下の状態に回復し、医師が適当と判断した時点で改めて治療を再開することが可能です。
Fees & Terms
費用とご契約の規定
国内外の料金体系と保証金制度
本治療は保険適用外の自由診療であり、費用は全額自己負担となります。
- 日本国内居住の患者様
- 1回あたり:2,000,000円(税別) / 8回総額:16,000,000円(税別)
- 日本国外居住の患者様
- 為替変動の影響を避けるため、1回あたり:25,000米ドル(税別)の固定金額を適用します 。
- 保証金(預り金)
- 2,000,000円(国外居住者は25,000米ドル)を、最初の採血予定日の2週間前までにお振り込みください。これにより予約が確定いたします。
※保証金は投与最終回(8回目)の治療費に充当いたします。
※初診料、再診料、検査料は別途必要です。
※患者様の状態に応じて薬剤(IL-2、CTLA4-Ig)を減量した場合でも、治療費用に変更はございません。
解約および返金について
採血予定日の2週間前を過ぎてから、患者様のご都合で治療を中止される場合、お預かりしている保証金はキャンセル料として扱われ、返金はいたしかねます。
ただし、病状の急変やご逝去、または技術的な理由で細胞培養が不能となった場合などは、すでに発生した実費(検査費用、細胞加工費、資材費、人員確保費用等)を差し引いた上で、残額がある場合に限り返金いたします。返金額は進行状況に応じ個別に算定されます。
なお、標準的な治療(IL-2/ラパマイシン法)で十分な改善が認められない場合は、医師の判断により培養方法の変更(IL-7/IL-15法:1回 2,500,000円 / 国外居住者は30,000米ドル・税別)をご提案することがあります。
Safety & Patient Rights
安全性への配慮と患者様の権利
副作用への対応と救済体制
採血に伴う痛みや内出血、あるいは点滴に伴うアレルギー反応(発熱、悪寒、吐き気、嘔吐、低血圧、アナフィラキシー様症状など)が生じる可能性は否定できません。万一、健康被害が生じた場合は直ちに適切な医療措置を行い、医師賠償責任保険等を適用して対応いたします。本治療は厚生労働大臣に提供計画を届け出(再生医療等提供計画番号:PC3250265)、認定再生医療等委員会の審査を経て提供されています。
同意撤回の自由と情報の保護
患者様の自由な意思は常に尊重されます。説明を受けた後に同意を保留することや、同意後に撤回することは自由であり、それによって今後の診療で不利益を被ることはありません。同意を撤回される場合は、受付へ「同意撤回書」をご提出ください。
患者様の個人情報は匿名化された上で厳重に管理され、本治療以外の目的に使用されたり、許可なく外部へ開示されたりすることはありません。採取した血液や細胞は適切に保管され、保管期間終了後は適切に廃棄されます。